女性が、ライオンのあごを閉じている。ライオンはもう暴れず、花の鎖につながれておとなしくしている。大アルカナの「力」は、腕ずくではなく、やわらかさで荒ぶるものを落ち着かせるカードです。正位置は「勇気・忍耐・内なる強さ」、逆位置は「自信のなさ・弱気・無理」がキーワードです。
言い返したいのを一度飲みこんで、ひと呼吸おいてから話す。その数秒に宿る強さが、このカードの中心です。恋の占いでは、時間をかけてじっくり育てていく関係として読まれます。

力の基本の意味
ひとことで言うと、「やさしさこそが、いちばんの強さ」というカードです。
| 正位置 | 逆位置 | |
|---|---|---|
| 基本のキーワード | 勇気・忍耐・内なる強さ | 自信のなさ・弱気・無理 |
| 恋愛 | じっくり育てる関係、包みこむ優しさ | 気持ちを抑えすぎる、自信が持てない |
| 彼の気持ち | じっくり大切にしたい | 気持ちを抑えている、自信が持てない |
| 復縁 | 時間をかけて、じっくり向き合う | 気持ちを抑えすぎて、伝えられない |
| 最終結果 | 時間をかけて、じっくり関係を育てていきやすい | 気持ちを抑えすぎて、伝えそびれやすい |
| イエスノーの目安 | YES寄り(正位置の場合) | |
ライオン・花の鎖・命のしるし
Waite の説明では、女性の頭上には「命のしるし」が浮かび、彼女はライオンのあごを閉じようとしています。ほかの絵柄とちがうのは、女性のやさしい強さによってライオンがすでに静まり、花の鎖で引かれている点だ、と書かれています。
- ライオン:解説には、ライオンが「情念」を表す見方もあると書かれています。怒り・嫉妬・焦りなど、自分の中の激しい気持ちとして読まれます
- 花の鎖:鉄ではなく花でつながれていることに、このカードの考え方が表れています。原文では、花の鎖は「やさしいくびきと、軽い荷」を意味するとされています。縛りつけるのではなく、納得して従ってもらう力です
- 頭上の命のしるし:横向きの8の字のようなしるしで、尽きることのない力、長く続く忍耐として読まれます
解説はさらに、このカードの強さは「静かに思いをめぐらすことの中にある強さ」につながる、と書いています。大声や勢いではなく、落ち着いて考える力。それが「力」の正体だと読めます。
8番と11番、そして前後のカード
ライダー版では8番です。マルセイユ版などでは8番が正義・11番が力と入れ替わります。どちらが正しいというものではないので、使っているデッキの番号に合わせてください。Waite 自身も「自分なりの理由で正義と入れ替えたが、読む人にとって意味が変わるものではない」と書いています。
ライダー版の並びで見ると、7番の戦車で外の世界に打って出たあと、8番の力で自分の内側の荒々しさと向き合い、9番の隠者で静かに自分を見つめる。力は、外向きの勝利から内向きの成熟へ切りかわる場所にあるカードとして読まれます。
古い解説書での意味
1918年の本の占いの節では、力は「力・エネルギー・行動・勇気・心の広さ」、さらに「大きな成功と名誉」。逆位置は、力の使い方がかたよった状態や「弱さ」など、今よりも厳しい言葉で書かれています。強さは、足りなくても、使い方をまちがえても、うまく働かない。昔の言葉からは、そんなバランスが読みとれます。
戦車・正義とどう違う?
同じ「コントロール」のカードでも、戦車は意志の力で手綱を握り、ぐいぐい前へ進む強さ。力は、相手や自分の感情をなだめて、自然に従ってもらう強さです。恋愛なら、戦車は「押して動かす」、力は「待って育てる」と読み分けられます。番号を入れ替えることのある正義は、白黒をはっきりさせる判断のカード。力が「許す・受けとめる」なら、正義は「量る・決める」です。
正位置の意味:勇気・忍耐・内なる強さ
ひとことで言うと、「あせらず、やさしく続けることが力になる」サインです。
正位置の力は、感情を押し殺すのではなく、手なずけながら前へ進むエネルギーを表します。怖さがなくなったから進むのではなく、怖さを抱えたまま一歩出る勇気です。
- 恋愛:じっくり育てる関係、包みこむ優しさ。あせらず、相手のペースも大事にできる
- 仕事:コツコツ続けてきたことが実を結びやすい。むずかしい相手とも落ち着いて向き合える
- 人間関係:相手を責めず、受けとめる余裕がある。信頼されやすい時期
正位置の力は、すぐに結果を出すことより、同じことを穏やかに続けることを後押しするカードとして読まれます。
逆位置の意味:自信のなさ・弱気・無理
ひとことで言うと、「がまんしすぎず、自分をいたわろう」のサインです。
花の鎖がほどけて、ライオンを抑えるのに必死になっている。逆位置の力は、内なる強さが消えたのではなく、自信が持てずに隠れているか、抑えこむことに力を使いすぎている状態として読まれます。
- 恋愛:気持ちを抑えすぎる、自信が持てない。言いたいことを飲みこんでしまう
- 仕事:がんばりすぎて疲れがたまりやすい。ひとりで抱えこみがち
- 人間関係:遠慮しすぎて、自分の意見が言えない
がまんを重ねることと、強くあることは同じではありません。休むこと、弱音を一つこぼすことも、力のカードでは立派な強さとして読まれます。逆位置全体の見方はこちらを参考にしてください。

恋愛で力が出たとき(片思い・復縁・付き合っている)
ひとことで言うと、「やさしさと根気が、関係を育てる」カードです。
| 悩み | 正位置 | 逆位置 |
|---|---|---|
| 片思い | あせらず、少しずつ距離を縮めていけるタイミング | 自信が持てず、気持ちを出せないでいる |
| 復縁 | 時間をかけて、じっくり向き合う | 気持ちを抑えすぎて、伝えられない |
| 付き合っている | 相手を包みこむやさしさで、信頼が深まる | がまんを重ねて、本音が言えなくなっている |
力の恋で試されるのは、「待てるかどうか」より「待ちながら自分を大事にできるかどうか」です。片思いなら、毎日のあいさつや短い会話を丁寧に重ねる。復縁なら、答えを急がせず、相手の中の激しい気持ちが静まるのを待つ。付き合っているなら、けんかの途中で一度だけ深呼吸して、責める言葉をやわらかい言葉に置きかえる。ほかのカードも含めた復縁の読み方は復縁のカード一覧にあります。
恋愛と仕事で、同じ力をどう読み分ける?
仕事の力は、むずかしい取引先や後輩との関係、長い練習や勉強など「相手や課題を手なずける」場面として読まれます。恋愛では、その相手が自分自身の嫉妬や不安になることが多いカードです。アドバイスの位置なら、仕事では「感情的なメールを送る前に一晩おく」、恋愛では「不安を責める言葉ではなく、お願いの言葉にして伝える」と読むと具体的になります。
相手の気持ちの位置に力が出たとき
ひとことで言うと、「あなたをじっくり大切にしたい」という気持ちとして読めるカードです。
| 読み方の目安 | |
|---|---|
| 正位置 | じっくり大切にしたい。あせらず、関係を育てていきたい |
| 逆位置 | 気持ちを抑えている、自信が持てない。好意があっても一歩が出ない |
正位置は、気持ちが軽くないからこそ、ゆっくり進めたい状態として読まれます。連絡のペースが落ち着いていても、関心が薄いとはかぎりません。逆位置は、自分に自信が持てず、好意を表に出せないでいる状態。あなたが安心して話せる空気をつくると、相手の中のライオンも少しずつ静まっていきます。
レンのひとこと:男は、本気の相手ほど「がっついて見えたくない」と思うものです。力が出た彼は、大事に思うからこそ慎重になっている、と読めます。
未来・アドバイス・最終結果の位置に力が出たとき
ひとことで言うと、「時間をかけるほど、関係が深まりやすい」という目安です。
| 位置 | 正位置 | 逆位置 |
|---|---|---|
| 未来 | 今の流れが続くと、少しずつ信頼が深まり、関係が落ち着きやすい | 今の流れが続くと、気持ちを飲みこんだまま疲れがたまりやすい |
| アドバイス | あせらず、やさしい言葉で気持ちを伝えてみる | がまんしすぎない。小さな本音から伝えてみる |
| 最終結果 | 時間をかけて、じっくり関係を育てていきやすい | 気持ちを抑えすぎて、伝えそびれやすい |
最終結果の位置の考え方はこちら。
力が出たときの3つの問いかけ
- 今、自分の中で暴れている「ライオン」は、どんな気持ちか
- それを押さえつけるのではなく、なだめるとしたら、どんな言葉をかけるか
- がまんしているつもりで、実は伝えたほうがいい本音はないか
イエスノー占いと人物像
ひとことで言うと、正位置は「YES寄り」、人物なら「やさしくて芯の強い人」です。
力のYESは「根気よく続けるなら」
力の正位置はYES寄り。ただし「すぐに」ではなく、「あせらず続ければ」という条件つきのYESとして読むと分かりやすいカードです。逆位置はNO寄りで、無理をして押し進めるより、体と気持ちを整えてから、という目安になります。
力が表す人
- 正位置:やさしくて、芯の強い人。感情的にならず、相手を受けとめられる人
- 逆位置:自分に自信が持てず、がまんをためこみやすい人

よくある質問
力のカードは8番?11番?
ライダー版(ウェイト版)では8番、マルセイユ版などでは11番です。どちらが正しいというものではないので、使っているデッキの番号に合わせてください。番号がちがっても、読み方は変わりません。
力のカードは「自信を持て」という意味?
Waite は、このカードは「ふつうの意味での自信とは関係がない」と書いています。自分を大きく見せる自信ではなく、静かに落ち着いていられる強さのカードとして読まれます。自信がないときに出ても、「そのままのペースで大丈夫」と受けとめられるカードです。
女性はライオンの口を開けている?閉じている?
ライダー版の解説では「閉じている」と説明されています。古いデッキには口を開けている絵もあり、Waite は閉じるほうが象徴として良いと書いています。どちらにしても、力ずくではなく手なずける強さを表す点は同じです。
情報源
- L. W. De Laurence『The Illustrated Key to the Tarot: The Veil of Divination』(1918年。ライダー版の解説書として知られる A. E. Waite の解説をそのまま収めた版。Project Gutenberg 収録、第2部 Section 2「The Trumps Major and their Inner Symbolism」、第3部 Section 3「The Greater Arcana and their Divinatory Meanings」)https://www.gutenberg.org/ebooks/43548(2026年9月30日に閲覧)
※この記事のカードの意味は、上の資料に載っている伝統的な意味と、現在タロットで一般に使われている解釈をもとに、当サイト編集部がまとめたものです。
