これまで大切にしてきた杯をその場に残し、ひとり去っていく人。「カップの8」は、心が満たされなくなった場所から、自分の意思で離れていく場面を描いたカードです。
正位置のキーワードは「方向転換・離れる」、逆位置は「関心が戻る・決めきれない」。恋愛では、気持ちが相手から離れていく流れや、今の関係に区切りをつけて次へ向かう気持ちを表すと読まれます。ただ、置いていく杯は「失敗したもの」ではなく「かつて大切だったもの」。自分の心に正直になるためのカードです。

カップの8の基本の意味
ひとことで言うと、「満たされない場所から、次の場所へ歩き出す」カードです。
| 正位置 | 逆位置 | |
|---|---|---|
| 基本のキーワード | 方向転換・離れる | 関心が戻る・決めきれない |
| スートのテーマ(カップ) | 感情・愛情・心のつながり | |
| 数字の意味(8) | 動き・変化の加速 | |
| 恋愛 | 今の関係から気持ちが離れる、向きを変える | 離れかけた気持ちが戻りかけ、行くか残るかで揺れる |
| 相手の気持ち | 今の関係に物足りなさを感じ、少し距離をおきたい | 離れようとしたが、あなたのことがまだ気になっている |
| 最終結果 | 今の関係に区切りをつけ、別の道へ向かいやすい | 離れるか戻るかで迷い、答えが出るまで時間がかかりやすい |
「8」の動きは、カップでは気持ちの移動
Waite の解説がそのまま載っている1918年刊の本によると、数札は数字とスートの組み合わせで意味が決まります。8は「動き・変化の加速」。カップに重ねると、気持ちが今いる場所から別の場所へ移っていくことを表します。
7で夢の中を迷っていた気持ちが、8では実際に動き出します。その動きは、何かをつかみに行くというより、今あるものを置いていく方向です。そして9では、心が満ち足りる場所にたどり着きます。8は、9の満足へ向かうための「手放し」の数字として読まれます。
置いていかれる杯と、沈んだ表情
同じ本では、沈んだ様子の男性が、これまでの幸せや取り組み、かつての関心ごとの杯を置き去りにしている姿として説明されています。
- 置いていかれる杯:原文は杯の中身を「幸せ」「取り組み」「かつての関心ごと」と言い表しています。失敗したものではなく、かつて大切だったものと読まれます
- 沈んだ表情:迷いなく去るのではなく、名残りを感じながら離れる姿。気持ちの区切りにも時間がかかることを表すと読まれます
- 去っていく姿:誰かに押し出されたのではなく、自分で選んだ移動。一般に、自分の心に従う決断の象徴と読まれます
古い解説書での意味
「占いでの意味」では、このカードは見たとおりの意味を持つとしながら、まったく反対の読み方として、喜び・穏やかさ・気おくれ・誉れ・つつしみも挙げられています。実際の占いでは、物事がしだいにおとろえていくこと、あるいは大事だと思っていたことが、よくも悪くも実はそれほど重要ではなかったと分かることを示す場合が多い、とされます。逆位置は、大きな喜び・幸せ・祝い。別の節では逆位置を「すっかり満ち足りること」としています。
カップのほかのカードとの並びはカップのスートの意味で見られます。
正位置の意味:方向転換・離れる
ひとことで言うと、「満たされない気持ちに、正直に動く」サインです。
- 恋愛:今の関係から気持ちが離れる、向きを変える。追いかけるのをやめる
- 仕事:今の仕事や役割に区切りをつけ、別の道を考える
- 人間関係:無理して合わせていたグループから、少し離れる
恋愛と仕事で読み分ける
恋愛で出た正位置は、「嫌いになった」より「ここにいても心が満たされない」と気づいた状態として読まれます。仕事では、成果が出ているかどうかに関係なく、自分の関心が別のところへ移っている場面。どちらも、原文にある「大事だと思っていたことが実はそれほどでもなかった」と気づく瞬間に重なります。恋愛は気持ちの移動、仕事は関心の移動、と読むと区別しやすくなります。
逆位置の意味:関心が戻る・決めきれない
ひとことで言うと、「一度離れかけた場所を、振り返っている」サインです。
- 恋愛:離れかけた気持ちが戻りかけ、行くか残るかで揺れる
- 仕事:やめたい気持ちと、続けたい気持ちの間で迷う
- 人間関係:距離をおいた人のことが、また気になりはじめる
逆位置は、歩き出した足が止まり、置いてきた杯のほうを見ている姿として読まれます。関心が戻るのは悪いことではありませんが、さみしさから戻ろうとしているのか、本当に大切だったと気づいたのかを分けて考えることが、このカードの一般的な受けとめ方です。

恋愛でカップの8が出たとき(片思い・復縁・付き合っている)
ひとことで言うと、「気持ちがどちらへ向かおうとしているか」を映すカードです。
| 悩み | 正位置 | 逆位置 |
|---|---|---|
| 片思い | 報われない想いに区切りをつけ、自分の時間を取り戻す | あきらめかけた気持ちが、ふとしたきっかけで戻ってくる |
| 復縁 | 過去の関係より、これからの自分に目が向く時期 | 相手への関心が戻りかけている。焦らず気持ちを確かめる |
| 付き合っている | 関係に物足りなさがあり、気持ちが外へ向きやすい。話し合う時間をつくる | 離れかけた気持ちが、戻る余地がある |
付き合っている相手との間に正位置が出ても、「別れるカード」と決めて読む必要はありません。今のままの関係では満たされない何かがある、という知らせとして読めば、ふたりで関係のかたちを変えるきっかけにもなります。
片思いで出た正位置は、あきらめるというより、自分の心を大事にする方向へ向きを変えるカードと読まれます。相手に合わせてばかりいた時間を、自分のために使いはじめる。そうして満たされた心で、また新しい縁に出会う流れとして受けとめられます。
相手の気持ちの位置にカップの8が出たとき
ひとことで言うと、「今の関係に物足りなさを感じ、少し距離をおきたい」気持ちとして読めるカードです。
| 読み方の目安 | |
|---|---|
| 正位置 | 今の関係に物足りなさを感じ、少し距離をおきたい |
| 逆位置 | 離れようとしたが、あなたのことがまだ気になっている |
正位置は、あなたを嫌いになったというより、今の関係のかたちに満たされなさを感じている状態として読まれます。相手自身が、仕事や生き方など別のことに関心を移している場合もあります。逆位置は、一度離れかけた気持ちが、まだあなたに残っている状態です。
レンのひとこと:男目線で言うと、カップの8が出た彼は、ひとりで考える時間を必要としているのかもしれません。引きとめるより、戻ってこられる余白を残しておくほうが、彼には楽だと読めます。
相手の気持ちの占い方全体は相手の気持ちを知りたいときのタロットにまとめています。
未来・アドバイス・最終結果の位置にカップの8が出たとき
ひとことで言うと、「今いる場所を離れて、新しい方向へ向かう流れ」という目安です。
| 位置 | 正位置 | 逆位置 |
|---|---|---|
| 未来 | 気持ちが今の場所から離れ、別の道を選ぶ場面が来やすい | 迷いが続き、行ったり来たりしやすい |
| アドバイス | 満たされない気持ちを認めて、自分の心が向く方へ一歩を出す | 戻る理由がさみしさなのか、本当の気持ちなのかを確かめる |
| 最終結果 | 今の関係に区切りをつけ、別の道へ向かいやすい | 離れるか戻るかで迷い、答えが出るまで時間がかかりやすい |
最終結果の位置の考え方はこちら。
イエスノー占いでは、正位置はNO寄りの目安と読まれるのが一般的です。ただし「今の場所を離れたほうがいい?」という問いなら、正位置はむしろYES寄り。何を問うたかで向きが変わるので、問いの立て方に気をつけたいカードです。逆位置は迷いのカードなので、どちらとも言いにくい目安です。
カップの8が出たら、自分に聞いてみたい3つのこと
- 今の場所で心が満たされない理由は、言葉にするとどうなる?
- 手放そうとしている杯は、本当にもう要らないもの?
- 離れたあと、自分はどこへ向かいたい?

よくある質問
カップの8と、ほかのスートの8の違いは?
8は「動き・変化の加速」の数字ですが、どう動くかはスートでちがいます。ワンドの8は「急展開・スピード」で物事が一気に進むこと、ソードの8は「身動きがとれない」で考えに縛られて動けないこと、ペンタクルの8は「努力・コツコツ」で同じ作業を重ねること。カップの8だけが、自分の意思で「離れる」動きを表します。スート別の早見は小アルカナ56枚の意味一覧で。
カップの8と大アルカナの「隠者」は似ている?
どちらもひとりで歩く姿が重なりますが、隠者のキーワードは「内省・探求・ひとりの時間」で、答えを探して自分の内側を見つめること自体が中心です。カップの8は「方向転換・離れる」で、今いる場所を離れるという行動が中心。隠者は立ち止まって考え、カップの8は考えた末に歩き出す、と読み分けられます。
カップの8が出たら、別れたほうがいい?
別れをすすめるカードではありません。正位置は、今の関係で満たされていない気持ちに気づくためのカードです。離れるのか、関係のかたちを変えるのかは、その気持ちを確かめてから決めても遅くないと読まれます。
古い本と今とで、逆位置の意味がちがうのはなぜ?
古い解説書では、逆位置は「大きな喜び・幸せ・祝い」とされています。正位置の「物事がおとろえる」を反対にした読み方です。今は正位置の「離れる」を反対にして「関心が戻る・決めきれない」と読むのが一般的になっています。どちらが正しいというより、何を正位置の中心と見るかのちがいとして受けとめてみてください。
情報源
- L. W. De Laurence『The Illustrated Key to the Tarot: The Veil of Divination』(1918年。ライダー版の解説書として知られる A. E. Waite の解説をそのまま収めた版。Project Gutenberg 収録、第1部 Section 3「The Four Suits, Otherwise Lesser Arcana」、第3部 Section 2「The Lesser Arcana」・Section 4「Some Additional Meanings of the Lesser Arcana」)https://www.gutenberg.org/ebooks/43548(2026年9月30日に閲覧)
※この記事のカードの意味は、上の資料に載っている伝統的な意味と、現在タロットで一般に使われている解釈をもとに、当サイト編集部がまとめたものです。
