玉座が置かれているのは、陸ではなく海の上。片側には船が浮かび、もう片側ではイルカが跳ねている。タロットの小アルカナ「カップのキング」は、波の上で静かに座る王のカードです。正位置のキーワードは「包容力・寛大さ」、逆位置は「感情の起伏・ずるさ」。
揺れる水の上にいながら落ち着いていられる。その姿が、このカードの包容力をいちばんよく表しています。

カップのキングの基本の意味
ひとことで言うと、「感情の波の上で、落ち着いてまわりを支える」カードです。
| 正位置 | 逆位置 | |
|---|---|---|
| 基本のキーワード | 包容力・寛大さ | 感情の起伏・ずるさ |
| スートのテーマ(カップ) | 感情・愛情・心のつながり | |
| 位の意味(キング) | まとめる・責任・外への力 | |
| 恋愛 | 大きな心で受けとめてくれる、頼れる相手とつながりやすい | 気分の浮き沈みや、はっきりしない態度に振りまわされやすい |
| 相手の気持ち | あなたを大きな心で受けとめたい、大切に守りたい | 好意はあるが、気持ちの浮き沈みで態度が定まらない |
| 最終結果 | おたがいを受けとめ合える、落ち着いた関係になりやすい | 気持ちの浮き沈みで、関係が安定しにくい |
| イエスノーの目安 | YES寄り(正位置の場合) | |
気持ちを扱うスートの中で、「まとめる・責任・外への力」を持つ位。自分の感情を整えられるだけでなく、そのやさしさを、まわりの人を支える力として外へ向けられる人の姿です。
海の上の玉座・船とイルカを読み解く
A. E. Waite の解説を収めた1918年の本では、このキングの絵が次のように説明されています。そこから4つの要素を取り上げます。
- 海の上に置かれた玉座:感情という水の上に、しっかり腰を下ろしている姿です。波をなくすのではなく、波があっても座っていられる落ち着きとして読まれます。
- 片側の船:人が海を渡るための乗りもの。一般的な解釈として、仕事や社会の中で気持ちをうまく運ぶ力にたとえられます。
- 反対側で跳ねるイルカ:水の中で自由に動く生きもの。のびのびした感情や遊び心の象徴として読む人もいます。船とイルカが左右に並ぶことで、理性と感情の両方を見わたせる王、と受けとれます。
- 短い笏と大きな杯:左手に短い笏、右手に大きな杯を持つと書かれています。権威のしるしより、愛情の器のほうが大きい。力よりも心で人をまとめる王として読むと、キーワードの「寛大さ」につながります。
同じ本はこの絵について、「カップのしるしは水につながり、水はすべてのコートカードに現れる」とも書いています。
キングという位と、クイーンからのつながり
カップのクイーンが気持ちを内側で受けとめて育てる位なら、キングはその気持ちを持ったまま、人の前に立つ位です。ペイジで芽生え、ナイトで運ばれ、クイーンで温められた気持ちが、キングで「人を支える力」になる。カップのコートカード4枚は、こうして1本の流れで読むこともできます。
古い解説書での意味
「占いでの意味」の節では、正位置に「責任感があり、相談する人の力になろうとする人」「公平さ」「芸術と学問」「創造的な知性」が並び、仕事や法律、宗教にたずさわる人の例も挙げられています。逆位置は、不誠実さや二心など、今よりずっと厳しい言葉で書かれています。カップのスートの残り13枚はカップのスートの意味と早見表にまとめました。
正位置の意味:包容力・寛大さ
ひとことで言うと、「相手の気持ちの波ごと、受けとめられる」サインです。
- 恋愛:大きな心で受けとめてくれる、頼れる相手とつながりやすい。あなた自身がそうなれる時期でもある
- 仕事:人をまとめる立場で、思いやりが信頼につながる。感情的な場面でも落ち着いて話をまとめやすい
- 人間関係:もめごとの間に立ち、おだやかに収める役を任されやすい
原文の「創造的な知性」という言葉のとおり、気持ちに寄り添いながら、ものごとを前に進める知恵も持つカードです。やさしいだけで終わらない、大人の余裕として読まれます。
ソードのキング・ワンドのキングとの違い
ソードのキングは、抜いた剣を持って裁きの座につく王として描かれています。筋道と判断で人を導くのがソード、気持ちをくみとって人を支えるのがカップです。ワンドのキングは玉座にライオンの紋を持ち、熱く生き生きとした気質とされています。情熱で引っぱるワンドに対して、カップは受けとめて支える王、と読み分けられます。
逆位置の意味:感情の起伏・ずるさ
ひとことで言うと、「海が荒れて、王が座っていられなくなった」サインです。
- 恋愛:気分の浮き沈みや、はっきりしない態度に振りまわされやすい。やさしい日とそっけない日の差が大きい
- 仕事:その場の空気に合わせて、言うことが変わりやすい。約束は言葉だけでなく形に残したい
- 人間関係:本音を見せずに、うまくかわす場面が増えやすい
逆位置のキングは、悪い人を表すと決めつけるカードではありません。気持ちを抱えきれなくなったとき、人は本音を隠したり、都合のいいほうへ流れたりしやすい。そうした揺れに気づくための1枚として読まれます。逆さに出たカード全般の受けとめ方は逆位置の読み方で紹介しています。
カップのキングの人物像(正位置・逆位置)
ひとことで言うと、「感情を知ったうえで、落ち着いていられる人」です。
王の姿でも、年上の男性とはかぎりません。同じ本には年齢でコートカードを選ぶ古い決め方も載っていて、そこではキングがナイトより若い年代に割り当てられています。位と年齢は本によってばらばらなので、性別や年齢よりも、気持ちとの向き合い方で読んでください。
- 正位置:おだやかで包容力があり、人の気持ちを大きく受けとめる人。落ち着いていて頼りになる人
- 逆位置:気分の浮き沈みが大きく、本音を見せにくい人。都合に合わせて態度を変えることがある人

恋愛でカップのキングが出たとき(片思い・復縁・付き合っている)
ひとことで言うと、「安心して寄りかかれる、大人の関係へ」のカードです。
| 悩み | 正位置 | 逆位置 |
|---|---|---|
| 片思い | 相手は、あなたの話を落ち着いて聞いてくれる人。急がず信頼を重ねやすい | やさしさの日と、そっけない日の差に戸惑いやすい |
| 復縁 | 感情的にならずに、別れた理由を話し合える流れ | その場のさみしさで近づいたり離れたりしやすい |
| 付き合っている | おたがいのわがままを笑って受けとめられる、落ち着いた関係 | 本音を言わずに、気まずさを流してしまいやすい |
恋愛運を見たときのカップのキングは、ときめきの強さより「この人といると落ち着く」という感覚が大きくなる流れとして読まれます。復縁なら、昔より少し大人になった2人で向き合える時期、と受けとめられるカードです。
恋愛と仕事での読み分け
恋愛では「包みこんでくれる相手」「包みこめる自分」、仕事では「人をまとめる立場での思いやり」として読むのが一般的です。恋愛では相手1人の気持ちを受けとめる力、仕事ではチーム全体の気持ちを整える力として出てきます。
相手の気持ちの位置にカップのキングが出たとき
ひとことで言うと、「あなたを受けとめる側でいたい」と読めるカードです。
| 読み方の目安 | |
|---|---|
| 正位置 | あなたを大きな心で受けとめたい、大切に守りたい |
| 逆位置 | 好意はあるが、気持ちの浮き沈みで態度が定まらない |
正位置は、あなたの弱いところも含めて受けとめたいという、落ち着いた好意として読まれます。言葉で熱く伝えるより、そばにいて支えることで気持ちを示すタイプの思いです。逆位置は、気持ちがないのではなく、自分の感情の波をまだ整えきれていない状態と受けとれます。
レンのひとこと:男がこのカードの気持ちでいるときは、「好き」より先に「守りたい」が来ている、と読めます。頼ってもらえると、うれしいものなんです。
気持ちの位置の読み方をまとめて知りたいときはタロットで見る相手の気持ちが参考になります。
未来・アドバイス・最終結果の位置にカップのキングが出たとき
ひとことで言うと、「気持ちが落ち着く場所ができていく」という目安です。
| 位置 | 正位置 | 逆位置 |
|---|---|---|
| 未来 | 今の流れが続くと、頼れる人の支えを感じやすい | 今の流れが続くと、相手の気分の波に振りまわされやすい |
| アドバイス | 感情に流されず、大きな心で相手を受けとめる | 気持ちが揺れているときは、大事な判断を急がない |
| 最終結果 | おたがいを受けとめ合える、落ち着いた関係になりやすい | 気持ちの浮き沈みで、関係が安定しにくい |
最終結果の位置の考え方はこちら。
カップのキングが出たときの3つの問いかけ
- 相手の気分の波と、自分の気持ちを、分けて考えられている?
- がまんして「大人の対応」をしているだけになっていない?
- 支えるだけでなく、自分が支えてもらいたいことは何?
イエスノー占いでカップのキングが出たとき
ひとことで言うと、正位置は「YES寄り」、逆位置は「NO寄り」の一般的な目安です。
「この人を頼ってもいい?」「受けとめて進めていい?」のような、信頼に関わる質問で読みやすいカードです。正位置なら任せてよい流れ、逆位置なら気持ちが落ち着くまで答えを保留する、という読み方になります。ワンオラクルの引き方もあわせてどうぞ。

よくある質問
カップのキングの船とイルカには、どんな意味がある?
Waite の解説には、玉座が海の上にあり、片側に船、反対側に跳ねるイルカが描かれている、とだけ書かれています。一般的には、船を人の世界で気持ちを運ぶ力、イルカを自由な感情の象徴と読み、その両方を見わたす王として受けとる読み方が一般的です。
カップのキングは、年上の男性を表すカード?
そうとはかぎりません。古い本の年齢による選び方では、キングはナイトより若い年代に当てられているほどで、位と年齢の結びつきは本によって異なります。性別や年齢より、「落ち着いて受けとめる人」かどうかで読むのがおすすめです。
カップのキングの逆位置は、「ずるい人」という意味?
そう決めつける読み方はおすすめしません。逆位置は、感情の波で態度がぶれたり、本音を隠したりしやすい状態を表すと読まれます。人を判定するより、どこで気持ちが揺れているのかを見るためのカードとして使ってみてください。
情報源
- L. W. De Laurence『The Illustrated Key to the Tarot: The Veil of Divination』(1918年。ライダー版の解説書として知られる A. E. Waite の解説をそのまま収めた版。Project Gutenberg 収録、第3部 Section 2「The Lesser Arcana」・Section 6「The Art of Tarot Divination」)https://www.gutenberg.org/ebooks/43548(2026年9月30日に閲覧)
※この記事のカードの意味は、上の資料に載っている伝統的な意味と、現在タロットで一般に使われている解釈をもとに、当サイト編集部がまとめたものです。
