マントをまとった人物が、足もとの杯を見つめて立っています。そのうしろには、まだ2つの杯が残っている。「カップの5」は、なくしたものに心が向いているとき、手元に残っているものの存在を思い出させてくれるカードです。
正位置のキーワードは「喪失・後悔」、逆位置は「立ち直り・残ったものに目を向ける」。恋愛では終わった恋への心残りを表すと読まれますが、悪い出来事を告げるカードではありません。カップの5が教えてくれるのは、なくしたものの大きさよりも、うしろで静かに立っている2つの杯のほうです。

カップの5の基本の意味
ひとことで言うと、「なくしたものを悲しみながら、残ったものにも気づける」カードです。
| 正位置 | 逆位置 | |
|---|---|---|
| 基本のキーワード | 喪失・後悔 | 立ち直り・残ったものに目を向ける |
| スートのテーマ(カップ) | 感情・愛情・心のつながり | |
| 数字の意味(5) | 変化・ぶつかり合い・試練 | |
| 恋愛 | 終わった恋への後悔。ただし残っているものもある | 後悔を少しずつ手放し、残っている気持ちや縁に目が向く |
| 相手の気持ち | あなたとのことを思い返し、うまくいかなかったことを悔やんでいる | 過去の後悔から少しずつ立ち直り、前を向こうとしている |
| 最終結果 | 心残りが続き、気持ちの整理に時間がかかりやすい | 後悔を越えて、残っているつながりを大切にできるようになりやすい |
「5」のゆらぎは、カップでは気持ちの喪失として表れる
Waite による解説をまとめて収めた1918年の本では、小さなカードの意味は、数字の意味がスートと結びついて決まると書かれています。5は「変化・ぶつかり合い・試練」。気持ちのスートであるカップに重ねると、大切にしていたものを失ったと感じる場面になります。
4では満ち足りすぎて心が動かなくなり、5で思いがけず何かを手放すことになる。そして6では、なつかしい記憶にふれて心がやわらいでいきます。5はカップの流れの折り返し地点で、ここで悲しさをきちんと感じるから次の回復がある、という並びとして読まれます。
マントの人物と、うしろの2つの杯
同じ本には、暗いマントの人物が横を向いて3つの杯を見ていて、そのうしろに2つの杯が立っている、と書かれています。背景には橋があり、小さな館へと続いています。
- 見つめている3つの杯:失ったもの、うまくいかなかったこと。人物の目は、今そこにだけ向いています
- うしろに立つ2つの杯:まだ残っているもの。振り返れば手が届く場所にある、と読まれます
- 橋と館:悲しみの場所から、帰る場所へ渡る道。一般に、気持ちを立て直す道すじの象徴と読まれます
- マント:気持ちを内側に包みこんでいる姿。まわりに見せずに抱えている悲しさとして読まれます
古い解説書での意味
「占いでの意味」では、はっきりと「失うカードだが、何かが残る」とされ、「3つは奪われたが、2つは残っている」という一節があります。逆位置には、知らせ・結びつき・親しみ・戻ってくること、などが並びます。別の節では、正位置を「おおむね好ましいカード」とする読み方や、逆位置を「長く会っていなかった身内が戻ってくる」とする読み方も紹介されています。古い本の時点で、すでに喪失だけのカードとしては書かれていないことが分かります。
カップ14枚の中での位置はカップのスートの早見表で確かめられます。
正位置の意味:喪失・後悔
ひとことで言うと、「悲しい気持ちを、なかったことにしなくていい」サインです。
- 恋愛:終わった恋への後悔。ただし残っているものもある。あのとき別の言い方をしていれば、と考えてしまう
- 仕事:思いどおりにいかなかった結果を引きずる。反省が自分責めになりやすい
- 人間関係:離れていった人のことが気になる。さみしさを感じやすい
恋愛と仕事で読み分ける
恋愛の正位置は、失った関係そのものより、「自分がどうすればよかったか」をくり返し考えている心の状態を表します。仕事で出たときは、うまくいかなかった企画や結果に目が向いている場面。どちらも、うしろの2つの杯にあたるものを探すのが読み解きのコツです。恋愛なら今も支えてくれる友人や自分の中に残るやさしさ、仕事なら積み上げた経験や手を貸してくれる人が、それにあたると読まれます。
逆位置の意味:立ち直り・残ったものに目を向ける
ひとことで言うと、「振り返って、2つの杯を拾い上げる」サインです。
- 恋愛:後悔を少しずつ手放し、残っている気持ちや縁に目が向く
- 仕事:失敗から学んだことを、次に生かそうと思える
- 人間関係:疎遠だった人から連絡が来る、なつかしい人との再会
逆位置は、正位置よりも前向きに読まれるカードです。古い解説書にある「戻ってくること」「知らせ」も、この回復の流れに重なります。ただし、無理に明るくふるまう必要はありません。悲しさを感じきったあとで、自然に顔が上がる。そのくらいの速さで進むことが、このカードに合った立ち直り方と読まれます。

恋愛でカップの5が出たとき(片思い・復縁・付き合っている)
ひとことで言うと、「過ぎたことを、今どう抱えているか」を映すカードです。
| 悩み | 正位置 | 逆位置 |
|---|---|---|
| 片思い | 思うように進まなかったことを悔やみやすい。自分を責めすぎない | 気持ちを切り替え、今できることに目が向く |
| 復縁 | 別れへの後悔が強い時期。まず気持ちを落ち着ける | 過去を責めずに、残っているつながりから向き合い直せる |
| 付き合っている | 小さな失望が心に残っている。ため込まずに話す | すれ違いを越えて、関係のよいところを見直せる |
復縁の占いでカップの5が出るのは、それだけ相手とのことを大切に思ってきたしるしとも読めます。正位置は、今は後悔が大きく、冷静に判断しにくい時期。答えを急ぐより、まず自分の気持ちを整えることが先と読まれます。逆位置なら、うしろの2つの杯、つまり今も残っている縁や思いやりに目を向けられる段階です。
「カップの5が出たから、この恋は終わる」と読むカードではありません。失ったと感じているものがあることを知らせてくれるだけで、残った杯をどう扱うかは、まだあなたの手の中にあると読めます。
相手の気持ちの位置にカップの5が出たとき
ひとことで言うと、「あなたとのことを、悔やみながら思い返している」気持ちとして読めるカードです。
| 読み方の目安 | |
|---|---|
| 正位置 | あなたとのことを思い返し、うまくいかなかったことを悔やんでいる |
| 逆位置 | 過去の後悔から少しずつ立ち直り、前を向こうとしている |
正位置は、あなたへの気持ちがなくなったのではなく、うまくいかなかった出来事を相手自身が引きずっている状態として読まれます。悔やんでいるのは、あなたに対してではなく、自分の言動に対してかもしれません。逆位置は、その後悔を少しずつ越えて、前を向こうとしている状態です。
レンのひとこと:男目線で言うと、カップの5が出た彼は、自分のしたことを認めるのに時間がかかっているのかもしれません。責めずに待つことが、彼が顔を上げるきっかけになると読めます。
相手の心を読むときの手がかりは「相手の気持ち」の占い方にまとめました。
未来・アドバイス・最終結果の位置にカップの5が出たとき
ひとことで言うと、「悲しさを通りぬけて、残ったものに気づいていく流れ」という目安です。
| 位置 | 正位置 | 逆位置 |
|---|---|---|
| 未来 | しばらくは、過ぎたことに気持ちが向きやすい | この先、なくしたと思っていたつながりが戻りやすい |
| アドバイス | 失ったものを数えるだけでなく、まだ手元にあるものも数えてみる | 残っている縁や気持ちを、ていねいに大切にする |
| 最終結果 | 心残りが続き、気持ちの整理に時間がかかりやすい | 後悔を越えて、残っているつながりを大切にできるようになりやすい |
最終結果の位置の考え方はこちら。
イエスノー占いでは、正位置はNO寄り、逆位置はYES寄りと読むのが一般的な目安です。ただ正位置のNOも、「今は悲しさの中にいて、答えを出す時期ではない」という意味合いで読まれます。
カップの5が出たら、自分に聞いてみたい3つのこと
- 失ったものの陰で、見落としている「残っているもの」は何?
- 後悔している出来事から、自分は何を学んだ?
- つらい気持ちを、誰かに話せている?

よくある質問
カップの5と、ほかのスートの5の違いは?
5はどのスートでも「変化・ぶつかり合い・試練」を表しますが、ゆらぐ場所がちがいます。ワンドの5は「競争・ぶつかり合い」で人と意見がぶつかる場面、ソードの5は「争い・勝ち負け」で言葉の対立、ペンタクルの5は「困窮・孤立」で暮らしの心細さ。カップの5は、その中で気持ちの面のゆらぎ、つまり喪失感を表します。スートごとの違いは小アルカナの意味一覧でも比べられます。
カップの5とカップの8は、どちらも杯を手放すカード?
似ていますが、向きが逆です。カップの5は、失ったと感じて立ち止まっている姿。カップの8は「方向転換・離れる」で、自分の意思で杯を置いて歩き出す姿です。5は「なくした」、8は「置いていく」と覚えると区別しやすくなります。
カップの5とソードの3は、どちらも悲しいカード?
ソードの3は「心の痛み・悲しみ」で、言葉や出来事で気持ちが傷ついた痛みそのものに焦点があります。カップの5は「喪失・後悔」で、なくしたものを思う気持ちと同時に、残っているものも描かれているのが特徴。悲しみの中にも、すでに回復の手がかりが見えているカードと読まれます。
カップの5の「2つの杯」には、どんな意味がある?
古い解説書が「3つは奪われたが、2つは残っている」と書いているとおり、まだ失われていないものを表すと読まれます。恋愛なら、相手との思い出の中のよかった部分や、あなた自身のやさしさ。後悔に目を向けているときほど、この2つの杯を思い出すことがこのカードの読み方の中心です。
情報源
- L. W. De Laurence『The Illustrated Key to the Tarot: The Veil of Divination』(1918年。ライダー版の解説書として知られる A. E. Waite の解説をそのまま収めた版。Project Gutenberg 収録、第1部 Section 3「The Four Suits, Otherwise Lesser Arcana」、第3部 Section 2「The Lesser Arcana」・Section 4「Some Additional Meanings of the Lesser Arcana」)https://www.gutenberg.org/ebooks/43548(2026年9月30日に閲覧)
※この記事のカードの意味は、上の資料に載っている伝統的な意味と、現在タロットで一般に使われている解釈をもとに、当サイト編集部がまとめたものです。
